1. イクメンブームの始まりと現状
当初、「イクメン」という言葉が登場したのは、育児することが少ない男性たちの意識を変えるためでした。この言葉が広がることで、男性たちが育児に対して前向きな姿勢を持つようになり、育児参加が進んだのです。その結果、今では多くの家庭で父親が当たり前のように育児をしています。
しかし、現代では育児は母親だけの役割ではなく、父親も共に行うべきという認識が広がっています。育児参加が当たり前となった現在、「イクメン」という言葉に違和感を抱く人も少なくありません。ちょっとした育児をするだけで褒められるのではなく、父親が育児をするのは当然という風潮が定着しています。
今後はさらに男性が育児に対して積極的な役割を果たすことが求められるでしょう。「イクメン」という言葉が生まれた背景には、父親たちの意識改革がありましたが、新たな時代にふさわしい言葉や考え方が求められる時期に来ています。
2. イクメンの二極化
また、イクメンすらまだ到達していない男性たちがいる現状も無視できません。仕事と家庭のバランスを取りながら、一部の家庭では父親が積極的に育児と家事を行っていますが、まだまだ「家事・育児は女性の役割」という固定観念が残っています。実際、AERAの記事にも、家事と育児を完全にこなしている40代男性の事例が紹介されています。この男性は、周囲から一時間も称賛されたと語っていますが、もし性別が逆であればその注目度は全く異なっていたでしょう。
十数年前に「イクメン」という言葉が登場したことで、父親の育児が注目を浴びるようになりました。その結果、男性たちの意識にも大きな変化がもたらされ、育児に対する積極的な取組みが広がりました。しかし、現在では育児は父親にとっても当たり前のことであり、少し手伝っただけで称賛されることに違和感を覚える人が増えています。コミックエッセイストのハラユキさんは「時代のフェーズが変わったので、次の言葉が必要ではないか」と述べています。
性別に関係なく家事分担を考え、「We」を主語にした新しい形の家庭が求められています。家事や育児を分担することは、性別に関わらず家庭全体の幸せを築くための大切なステップです。
3. 日本社会の性別役割分担
とはいえ、まだまだ家事育児をする男性が少数派であることには変わりありません。特に、表面的にイクメンをアピールするだけで実際にはそこまで積極的でない人たちも存在します。それに対して、本当に家事育児を率先して行う父親たちは、褒められることを望むわけではなく、当然のこととして受け入れています。
愛知県に住む40代の男性の話がその一例です。彼は小児科医の妻と結婚し、会社員でありながら主夫として家事育児を担っています。大学のゼミのOB・OG会で自身の家事育児について話した際、多くの人が驚き、称賛したと言います。もし逆に彼が女性であれば、このような反応はなかったかもしれません。性別が逆であるだけで注目されるという事実は、日本社会における性別役割分担の深さを物語っています。
また、「イクメン」という言葉自体についても議論があります。当初、この言葉は父親の育児参加を称えるものでしたが、現在ではその重要性も薄れつつあります。次のステップとして、家事育児は男女問わず「We」を主語として行うことが求められています。家庭内での役割分担は性別に基づくものではなく、夫婦が協力して行うべきという認識が広がりつつあります。
多くの現代の父親たちは家事の効率化を追求しており、時短家電やエクセルでの管理を活用しています。これにより、家事を効率的にこなすことで、家族全体の負担を減らす努力が続けられています。こうした取り組みは、家庭内の性別役割分担の見直しを促進する一助となっています。これからの日本社会では、一方が家事育児を担うのではなく、夫婦が協力して家庭を運営することがより一般的になるでしょう。
4. 家事育児の不公平感
家事や育児に対する適性の違いも不公平感を感じさせる要因の一つです。ある男性は、妻が家事に興味を持たず、自分の方が家事や育児に対しての能力や適性が高いと感じたため、自然と自分がそれらを担うことになったと語っています。このように、家事や育児への適性が偏った時、夫または妻が一方的にその役割を担うことになる場合があります。
不公平感を軽減するためには、家事や育児の効率化を追求することも重要です。例えば、時短家電を活用したり、献立をエクセルで管理したりすることで、少ない労力で済むような工夫が求められます。これにより、一方に過剰な負担がかからず、バランスの取れた家庭運営が可能となるでしょう。効率化の追求は、家事や育児の負担を軽減し、不公平感を解消する一つの手段として有効です。
男女間の役割分担意識は時代と共に変わるべきです。以前は「イクメン」という言葉が登場し、多くの男性が育児に参加するようになったものの、現在ではそれが当然のこととされています。したがって、新たな言葉や考え方が必要とされる時代に突入しています。いかにして全ての家庭が公平な家事育児分担を実現するか、それを考えることが今求められているのです。
5. 新しい言葉の必要性
コミックエッセイストのハラユキさんも、「時代のフェーズが変わったので次の言葉が必要だ」と指摘しています。彼女の著書『ほしいのは「つかれない家族」』などからも、その考えが読み取れます。新しいステージに相応しい言葉を見つけ出すことが、今後の課題となるでしょう。
また、「家事育児=女性」という固定観念も根強く存在しています。これは、夫が家事や育児に参加する時に、多くの場合「輝かしいイクメン」として賞賛される背景にあります。現に、共働きであるにもかかわらず、夫が家事を行うと周囲からは驚きの反応が返ってくることが少なくありません。しかし、真の平等を実現するためには、家事や育児を自然と分担する家庭のあり方が求められます。
このような現状を変えるためには、新しい言葉だけでなく、家族や社会全体での意識改革が必要です。家事分担の話題になるとき、「We」という主語を用いることで、家族全体での協力関係を強調することができます。性別にとらわれず、家族全員が一丸となって子育てや家事に取り組む姿勢が理想です。そして、そのような家庭環境が当たり前になるためには、まずは私たち一人ひとりが考えを改める必要があります。新しい言葉と共に、行動を変える一歩を踏み出しましょう。