低年齢幼児向けアニメ「こんなこいるかな」のメディア・ミックス戦略

 

1. 背景と目的

1988年に秋山隆志郎氏と小平さち子氏によって開発された「こんなこいるかな」というアニメは、低年齢の幼児向けに作られました。
このアニメは、非常に短いストーリーで構成されており、実験室内での研究によれば高い注視率を記録したことが確認されています。
しかし、家庭環境でも同様に子供たちの注視を引きつけ続けるかどうか、また幼児たちに好まれるかどうかについては、単に実験室内のデータだけでは判断することができません。
そこで、一次調査と二次調査に分けて実際に家庭での反応を調査しました。
この調査は、昭和61年11月と昭和62年2月の二度にわたり、2歳から3歳の幼児約270人を対象に行われました。
調査の結果、幼児たちの視聴行動に対する反応を知ることができただけではなく、「こんなこいるかな」と同じキャラクターを使用した月刊雑誌を家庭に配布することにより、幼児たちの視聴行動がどのように変化するかも探りました。
この調査により、家庭環境での「こんなこいるかな」の視聴率や幼児の好まれる度合い、さらにはメディアミックス戦略の効果を明らかにすることが目的でした。
さらにこの取り組みは、アニメと他のメディアを組み合わせることでどのようなシナジー効果が生まれるかを検証する貴重な実験となりました。

2. 調査方法

1988年に発行された論文「低年齢幼児向けアニメの開発とアニメ視聴におけるメディア・ミックス」において、昭和61年11月と昭和62年2月に2歳から3歳の幼児、約270人を対象にした調査が行われました。
一次調査と二次調査の二回に分けて実施され、その目的は家庭での視聴行動を観察することでした。
調査は、主要アニメ「こんなこいるかな」の家庭での注視率や幼児の好まれ度を確認するために行われました。
特に、家庭内でのテレビ視聴行動が実験室内での研究結果と一致するかどうかを検証しました。
調査の過程では、同じキャラクターが載っている月刊雑誌を家庭に配布することで、視聴行動にどのような変化が生じるかも確認しました。
これにより、メディア・ミックス戦略がどの程度幼児のアニメ視聴行動に影響を与えるかを明らかにすることができました。

3. 結果

この調査では、アニメ「こんなこいるかな」が家庭でも高い注視率を示すことが確認されました。
実験室内でのデータでも高い注視率が得られていましたが、家庭環境でも同様の結果が得られたことは重要な発見でした。
親たちからのフィードバックによれば、幼児はこのアニメに非常に興味を持ち、注意深く視聴する姿が見られました。
このことから、「こんなこいるかな」は低年齢幼児に非常に好まれるアニメであることが示されています。

4. メディア・ミックスの効果

低年齢幼児向けアニメ「こんなこいるかな」のメディア・ミックス戦略についてご紹介いたします。このアニメは、子供たちが多くのキャラクターと出会い、楽しく学ぶことができる場を提供しています。特に、テレビと月刊雑誌の組み合わせによるメディア・ミックス戦略が重要な役割を果たしています。

まず、テレビ番組「こんなこいるかな」は、短時間で子供たちの興味を引くことができる内容で構成されています。実験室内の研究では、高い注視率が確認されましたが、家庭環境でも同様の結果が得られるかどうかを確かめるために約270人の幼児を対象に一次調査と二次調査を行いました。この調査により、テレビのみで視聴する場合と、月刊雑誌を併用する場合での視聴行動の違いが観察されました。

次に、月刊雑誌の提供による効果です。雑誌には、アニメに登場するキャラクターの詳細情報やストーリーの補足説明、さらにキャラクターと一緒に楽しめるゲームやクイズが掲載されています。これにより、子供たちはテレビ放送後もそのキャラクターやストーリーに関心を持ち続け、より深い理解と楽しみを得ることができます。付加情報があることで、テレビだけでは引き出せない興味や関心が育まれることがわかります。

メディア・ミックス戦略の効果として、テレビと雑誌の両方を利用することで、子供たちのアニメに対する興味が増し、学習意欲が向上することが確認されました。また、親子での共同視聴や読書の機会が増え、家庭内でのコミュニケーションが活発になるという副次的な効果も見られました。このように、複数のメディアを活用することは、子供たちの多面的な発育を促進し、豊かな体験を提供するための有効な手段と言えます。